全国の介護施設で虐待の問題が取りざたされております。なぜ虐待が無くならないのでしょうか。どこの施設も虐待防止研修などしていると思いますが、当社の虐待防止の取り組みは、一般的な研修等の真逆のロジックでアプローチしています。
それは「こうすれば虐待は起きない(減る)」という性善説的アプローチではなく、「我々は確実に虐待をする」という性悪説的アプローチから始めます。
1.介護施設では虐待は必ず起きる。
2.最高責任者である私(社長)でも、偶然であっても悪い条件が揃えば虐待をしてしまう。
3.あなた(スタッフ)も確実に虐待をする。
4.特に夜勤者は「知らない自分が目を醒ます」ことを認識する。
人は弱い生き物ですから、ふとしたときに普段心や頭にない行動を起こすことがあることを知る。
虐待は他人が見ていないところで行われるのが常なので、そこを起点に考える。
突発的に行う「虐待のトリガー(引き金)となるものは何か」を深堀する。
多くはスタッフの「ストレス」である。
ではスタッフのストレスは何か。
多くはその業務内容にある。例えばオーバーワーク(業務過多)、例えば極度の緊張や不安状態にさらされ続ける、例えば社内のイジメや人間関係など。
上には「トリガー」「ストレス」の2つのキーワードで簡単にまとめましたが、実際にはもっと多くの段階があります。
このように虐待のロジックを紐解いて、スタッフの深層心理から遡って「なぜ?」「なぜ?」を繰り返して表に出してくると、リスクマネジメントとして会社が取るべき行動はおのずと見えてきます。一般的に行われている虐待防止研修は、極めて形式的であり、いかにもお役所的であり、「実戦」には不向きであることに気付きます。
虐待の現場は「リアル」です。頭でっかちに虐待とは何ぞやを学んだとて、です。会社はスタッフに虐待の知識を研修して「これで大丈夫」と、仕事をしたつもりになってはいけません。それがまたスタッフのストレスやプレッシャーにつながることもありますし。
そもそも会社理念を会社がトップダウンでスタッフに押し付けるスタイルは、もう古いやり方だと思います。会社理念を会社自身が日々体現し、スタッフが自然と自ら考え、肌で感じ、主体性をもって会社理念を実現してくれるように、虐待の研修などしなくても、スタッフ自らが自分を律することができるように、そして根本的にスタッフがストレスを感じない(或いは抱え込まない)「環境づくり」に徹することが大切だと思います。
私は勝手に当社を「独裁的民主主義」と言っています。最終的には私の鶴の一声で全てを決定するのですが、その過程においてはスタッフの意見や考えにしっかり耳を傾けます。
雇用形態や職種に関係なく、私は全スタッフと交流し、耳を傾けます。
虐待をするもしないも、当事者であるスタッフが迷わないように、社内の風通し良くし、全スタッフが互いに信頼し合える環境を日々研究しております。