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【本社】世界一貧しい大統領の言葉

みなさんは「世界一貧しい大統領」と言われた、元ウルグアイの大統領ホセ・ムヒカ氏をご存じでしょうか。このたび85歳にて政界を引退されましたが、先日立命館大学国際平和ミュージアムで同氏の企画展示をしていたので行ってきました。

氏は若い頃から反政府ゲリラを主導し幾度と投獄されておりましたが、出所後国会議員となり、ついには大統領まで上り詰めました。

氏が「世界一貧しい」と言われるのは、大統領公邸に住まず田舎の小さな農園で妻と暮らし、高級車に乗らず古めかしい愛車のフォルクス・ワーゲンを自ら運転して仕事をし、高級な服に身を包まずいつも色褪せたシャツを着ているなど、氏の生活が到底一国の大統領に見えないからです。

そんな氏が注目を集めたのが2012年のブラジルで開かれた「持続可能な開発会議」でのスピーチです。各国の首脳が発言した最後に登壇した氏のスピーチに、世界が拍手を送ったのでした。

●私は貧しいのではない、質素なだけです

●貧しいとは物がないことではなく、欲が多くて満足できない人です

●いつしか世界は、どこの国のどの人にどうやってモノを安く作らせ、高く売るかという視点で見るようになった

●我々は、発展するためにこの地球にやってきたのではない。幸せになるためにやってきたのです

●我が国の国民は長時間労働と戦い、ようやく6時間労働を獲得したのにも関わらず、バイクや車のローンを支払うために、別の仕事を持ち、以前よりも長時間働いている。物欲を満たすために時間を犠牲にしている

日本人に対してもこのように語っています。

●日本は確かに裕福な国だ。ただ、絶望的に働く人が多い。競争心にあおられ、若者は試験に落第し、自殺することもある。日本人は国の発展のためではなく、自分の幸せのためにもたたかわなければいけないね

氏は資本主義経済においては、「社会が人をコントロールしている。人が社会をコントロールしなければならない」と訴えます。

日本人は働きすぎとよく言われますが、私もよく「何のために仕事をしているのか」を考えます。労働は尊いものです。しかし行き過ぎた労働は、その人の二度と戻らない絶対的な価値(人生)の本質を削ることになります。

だから当社は仕事とプライベートの充実を謳っています。

働かないと生きていけないのも事実。ですが少しでも心に余裕を持って、何事も欲し過ぎず、人生と言う大きな時間軸の中で豊かに生きる方法を見つけていきたいですね。

ちょっと言い方が過激になりますが、私を含め「綺麗ごと」を述べる人間はたくさんいます。そうした連中はだいたい「自分はお金も欲しいし、美味しいもの食べたいし、最新の車に乗りたいし」と、まるで正反対の生活をしています。

ムヒカ氏は給料の90%を寄付し続けました。「大統領は国民の大多数と同じ生活をしなければならない。国民の生活水準が上がれば大統領も上げ、下がれば下げる。そうしなければ国民の気持ちは理解できない」との思いです。(最近どこぞやの知事が言い訳がましくセンチュリーに拘ったのとはえらい違いです)

ムヒカ氏の言葉は、先進国・後進国・発展途上国、全ての人間が「ドキッ」っとするものがあります。このブログの枠では100分の1も氏の言葉を伝えきれません。決して宗教的な話は皆無ですので、一度興味を持たれて、自分の生き方(生き様)をゆっくり考えてみてもよいかも知れませんね。

最後に、以下は「持続可能な開発会議」でのスピーチ全文です。

https://logmi.jp/business/articles/9911